目から鱗

「それではキゾシュイェグツウィ先生、料理人が腕によりをかけた品々をお楽しみください」 ……ああ、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうね。本当にどうしてでしたっけ。  そうでした、私の目の前に黒塗りの高級車が停…

続きを読む →

絢爛な羽衣

「ツァグ、それ以上花椒をかけるのをおやめなさい。私の目が痛いです」「分かりました、先生。ですが私にとってはもう少しかけたいところなのです」「おやめなさい」  普段はこれ以上ないほど優秀な助手なのですが、困ったもので、彼女…

続きを読む →

語るに及ばず

 まあ、あなたたちが一番気になっているのはこの辺ではありませんか? 「ヤルトーノイ」  そうですね。確かに私はヤルトーノイの出身です。長い時間をヤルトーノイで過ごし、そして広大なウェイストプロージの大地を歩いてきました。…

続きを読む →

死望港

 ああ待ってください、題名だけ見てページを閉じるものではありませんよ。そんなに恐ろしいものでもありませんから、どうぞそのままお読みになってください。  魔法仕掛けの国と呼ばれる大国アトラシオン。ここでは亡くなった方を水、…

続きを読む →

Hello, daughter.

 偶然が引き起こした奇跡、数奇な運命。 なんとも夢見心地な響きだとは思いませんか? これはクリテラクスで出会ったある男性と、彼のドールの物語です。  クリテラクスの道路はコンクリートでなだらかに舗装されていますが、地面が…

続きを読む →

観測ログ1

座標 ヤルトーノイ  あの装置がウェイストプロージの地表に落下してから、惑星全ての生命が始まりを告げた。彩りを増す地表と空に反して、装置は鈍い金属色を更に濁らせていく。 ……現在という保障がなければ、きっと絶望していただ…

続きを読む →

はじめに

親愛なる友人、トスルークェノへ 「世界はまるで不可逆な砂時計のようだ」  以前あなたが口にしたこの言葉を、時折思い出すのです。あなたらしくなかったな、と。 ただの流砂でもよかったでしょう。そもそも世界には他にも多くのもの…

続きを読む →